当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2026年4月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。
『明日、あたらしい歌をうたう』
著者:角田光代 出版社:水鈴社
親の愛情を知らずに育ちシングルマザーと
なったくすかの過去と、中学生の息子、新
(あらた)の現在の物語が交互に描かれる。
音楽小説とも、親子小説とも、恋愛小説と
も読めるが、根底には「自分を救ってくれ
る何か」という大きなテーマがある。
『gururiのぐるり』
著者:渡辺愛知 出版社:タバブックス
東京・谷中の路地に五年前に開いた五坪ほど
の雑貨と本の店。「あるひとりの架空の女性
をイメージして、その人を思いながらお店を
つくっている」という店主。地域に根ざして
生きる書店の清潔な佇まいが、この本自体の、
小体だけれど品のいい造本に表れている。
『青天』
著者:若林正恭 出版社:文藝春秋
オードリーの若林、初の小説。高校時代ア
メフト部に所属していた著者の自伝的要素
が強い長編小説。タイトルの「青天」とは、
アメフト用語で試合中に仰向けに倒される
最も屈辱的な状態のこと。青春時代特有の
焦りや劣等感を見事に描いている。
『『100万回生きたねこ』のナゾを解く』
著者:宮崎哲弥 出版社:筑摩書房
誰もが読んで知っている佐野洋子の名著の、
主人公とらねこは、なぜ百万回も蘇ったのか。
なのになぜ百万一回目には生き返らなかった
のか。しろねこと結ばれたところでなぜ物語
は終わらなかったのか。読めば読むほど考え
させられるこの絵本の魅力と謎の解説。
『裏の裏は表じゃない』
著者:川添愛 出版社:筑摩書房
私たちは言葉を使って物事を理解しているが、
その仕組みを疑うことは少ない。本書は、言
葉に敏感すぎる言語学者による、日常の小さ
な違和感から言葉と思考の関係を紐解くエッ
セイ。読めば日常の会話が少し違って聞こえ、
言葉の見方が変わる一冊。
『炎と水 中村哲と名もなき人たちの旅』
著者:山岡淳一郎 出版社:集英社
医師としてアフガニスタンで30年以上医
療支援と灌漑用水路建設を行い、2019
年、車で移動中に何者かに銃撃され亡くな
った中村哲氏。日本、アフガニスタン、パ
キスタンを5年に及んで取材した著者が彼
の生い立ちから死までを描いた本格的評伝。
『体の居場所をつくる』
著者:伊藤亜紗 出版社:朝日出版社
思い通りにならない体と、どう向き合うか?
摂食障害、ALSなど病や障害とともに生きる
人々の声から、身体との新しい付き合い方を
探る。治すだけではない、生きるための工夫
に気づかされるとともに、世界の見え方をや
わらかく変えていく一冊。
『夫を亡くして 北村透谷の妻・ミナ』
著者:朝日新聞出版 出版社:門井慶喜
明治時代の評論家、北村透谷の妻、ミナが主
人公の長編小説。自殺した透谷の死は、明治
の文学青年の精神的危機を象徴する出来事と
された一方で、透谷の死後、英語を学び教師
への道を選んだミナは、近代社会に現れ始め
た自立する女性の象徴として描かれている。
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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。
2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。