当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2026年8月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。
『三鬼』
著者:講談社 出版社:小林恭二
昭和初期、「新興俳句運動」の中心人物だっ
た西東三鬼。1940年治安維持法違反で検挙さ
れた裏には特高警察と陸軍の間で駆け引きが
あり、そこに至るまでにはシンガポールで名
を馳せた一族の壮大な歴史があった。史実と
虚構を織り交ぜた、著者17年ぶりの長編小説
『ハイマートー心の故郷・拠りどころー』
著者:えにし書房 出版社:ノラ・クルーク エドガー・フランツ
自らの家族が持つナチス時代の暗い過去と向
き合い、故郷(ハイマート)の意味を問い直
すビジュアル回想録。公文書や遺品から丁寧
に紐解いた加害者側の葛藤を、美しいイラス
トと共に描く。歴史の記憶を継承し、個人の
尊厳を取り戻すための圧倒的ドキュメント。
『高畑勲と「火垂るの墓」』
著者:新潮社 出版社:寺越陽子
高畑勲監督の没後に発見されたノートをもと
にNHKで制作されたドキュメンタリーの書籍
化。「これは反戦映画ではない」と言い続け
ていた監督の真意とは?公開から38年経った
今もこの映画が人々の心を打ち続ける理由を、
丹念な取材と資料分析によって解き明かす。
『中上健次 路地のビジョン』
著者:岩波書店 出版社:渡邊英理
中上健次が描いた“路地”を高度成長期の開
発によって解体されてゆく場所として捉え、
脱国家、脱資本の思想をそこから導き出す。
戦後文学の最良の到達地点を、単なる小説
論のみならず、世界思想や現在の社会と接
続させる豊かな読み解き。
『堤未果の『すばらしい新世界』』
著者:集英社 出版社:堤未果
100年前に書かれたオルダス・ハクスリーの
ディストピア小説『すばらしい新世界』を現
代の預言書と捉え、バイオテクノロジーやAI
が生命倫理を揺るがし、グローバル化と科学
万能論が超富裕層や国家の欲望を正当化する
現代社会の裏側が明かされる。
『《フリー・ジャズ》研究』
著者:柏書房 出版社:大谷能生
1960年12月21日、ジャズ史の転換点ともな
ったオーネット・コールマンら8人による
名盤はいかに生まれたか。37分間の録音を
全面採譜し、徹底分析した一冊。自身演奏
者、ラッパーでもある著者による、渾身の
ジャズ批評の一冊。
『写真があってよかった。』
著者:新潮社 出版社:大竹昭子
日本を代表する写真家、森山大道の初の評
伝。荒れた粒子、ブレ、ピンボケなどを大
胆に取り入れた「アレ・ブレ・ボケ」の表
現は、日本写真史に大きな衝撃を与えた。
国際的巨匠となった写真家はいかに誕生し、
進化を続けたか。緻密な調査で迫る。
『ニコ・ティンバーゲン 動物行動学を築いたナチュラリスト』
著者:紀伊國屋書店 出版社:ハンス・クルーク
生物の行動を分析する「4つのなぜ」を提唱
した動物行動学者の評伝。彼は動物の行動に
ついて従来の「本能(主観)か、単なる条件
反射(受動)か」という二極化された見方を
根底から覆し、1973年ノーベル生理学・医学
賞を受賞した。
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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。
2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。